「短期退職手当等」という言葉が令和4年1月1日から使用されます.
令和4年1月1日以降に退職された方,今後退職を検討されている方はどういうものかチェックしておきましょう.
*筆者は税理士ではないため不確かな部分,誤った情報が含まれている可能性があります.
短期退職金とは
「短期退職手当等」(短期退職金)とは,簡単にいうと
勤続年数5年以下で会社を辞めた場合の退職金のことを言います.
この退職金に対してかかる税金が令和4年から改正されました.
ひとまず,勤続5年以内に退職をする方は,確定申告で注意しなければいけないということを覚えておきましょう.
退職金は他の給与とは所得税の計算上「別枠」で「退職所得」という分類になります.
この退職所得が多すぎると所得税が多くなり,少ないと所得税が少なくなります.
改正後の短期退職手当等による退職所得の額は以下の計算により求めることになります.
退職金ー退職所得控除 | 退職所得 |
---|---|
300万円以下 | (退職金ー退職所得控除)×1/2 |
300万円超 | 150万円+(退職金ー(300万円+退職所得控除)) |
退職所得控除とは退職所得を減らすための経費のような存在です.
この額は,多くの場合「40万円×勤続年数」となります.
(参考:「退職金と税」国税庁)
国税庁のページによると1年未満の端数はたとえ1日でも1年と数えられるため,「◯年1ヶ月」等で退職すると税金的にお得になりますね.
(参考:「短期役員手当等Q&A」)
税制改正前と比較
税制改正前との比較として例をあげてみましょう.
例1(退職金ー退職所得控除が300万円以下の場合)
退職金 :400万円
勤続年数 :3年
退職所得控除:40万円×3年 = 120万円
退職金ー退職所得控除:280万円
この場合,「退職金ー退職所得控除」が300万円以下のため
退職所得は 280万円 × 1/2 = 140万円となります.
このケースでは改正前も改正後も変化はありません.
例2(退職金ー退職所得控除が300万円超の場合)
退職金 :500万円
勤続年数 :4年
退職所得控除:40万円×4年 = 160万円
退職金ー退職所得控除:340万円
この場合,「退職金ー退職所得控除」が300万円超のため
税制改正後の退職所得は 150万円+(340万円ー300万円)=190万円
税制改正前の退職所得は 340万円 × 1/2 = 170万円
ご覧のように改正後の退職所得が多くなります.
これは,「退職金ー退職所得控除」の300万円を超える部分に1/2控除が認められなくなったためです.
このように今回の税制改正は退職所得が場合によっては多くなってしまう法改正となっています.
今回の例は役員ではなく使用人(従業員)が前提の例ですが,役員の場合は少し計算が変わってきますので詳細は国税庁のQ&Aでご確認ください
「 参考:特定役員退職手当等Q&A」
改正の背景
今回の短期退職手当等の概念の導入にあたっての背景としては,
「短期間の勤務をして退職金をもらう」,また「短期間の勤務をして退職金をもらう」の繰り返しにより退職所得控除1/2を使って多くの現金を手元に残すという租税回避を目的として,就職⇨退職を繰り返す人が目立ってきたためのようです.
退職所得は他の所得に比べて1/2もの控除が受けられるためこれを悪用する人も中にはいるそうです.
ただこれは退職所得の低い方(退職金ー退職所得控除が300万円以下)を対象にしてしまうと退職後の生活資金として不合理なため,短期勤務でも退職所得が多くなる方(退職金ー退職所得控除が300万円超)や役員等の方を対象に控除の額を見直したものだと考えられます.
まとめ
退職金に関しては,一括でお金が入ってくる一方でそれに対しての税金もしっかり払わなければなりません.
確定申告が必要な方は申告を忘れないようにしましょう.
また,誤った情報を流していた場合ご指摘いただけますと幸いです.
以下の記事もおすすめ
「今年のボーナスはいくら?!ここを見ればわかる!賞与引当金?」
コメント