[簿記2級]剰余金とは?配当,処分の仕訳を解説

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日商簿記2級解説の第2弾です.

今回は「剰余金」について解説していきます.

その前に株式のしくみがわかっていない方は理解しておきましょう.

今回も以下の書籍を参考にしています.

滝澤ななみ,「みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商2級 商業簿記 第7版 」,TAC出版,2018/2/26.

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[簿記2級]剰余金とは?配当,処分の仕訳を解説

剰余金とは,会社が経営活動を行なって積み上げた利益のうち剰余分のお金,つまり余ったお金のことです.家計でいうと貯金額です.

この余ったお金の使い道として,株主に配当金として還元するのが一般的です.これを剰余金の配当と言います.

ここで,すべての剰余金を配当とするのではなく会社法や経営方針などから1部会社にストックされます.これを剰余金の処分と言います.

剰余金の処分は具体的には利益準備金純資産任意積立金純資産というものを積み立てます.

  • 利益準備金:会社法で積み立てが強制されているもの.(家計でいうと年金のようなもの)
  • 任意積立金:会社が任意で積み立てるもの.(家計でいうとへそくり)具体的には新築積立金純資産や別途積立金純資産というものがある.
    • 新築積立金:建物を新築するための積立金.
    • 別途積立金:使用目的のないお金

・剰余金:余ったお金 ⇨ 貯金
 ・利益準備金:
   会社法で強制された積立金 ⇨  年金
 ・任意積立金:
   会社が好きで積み立てているもの ⇨ つみたて

これらの具体的な配分は株主総会で話し合われて決められます.

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繰越利益剰余金とは?

株式会社での決算では,最終的に算出した当期純損益を「繰越利益剰余金純資産に振り替えます.

繰越利益剰余金は,利益剰余金のうち利益準備金でも任意積立金でもない部分

損益勘定からの振替

Q1:決算において5,000円の当期純利益を計上した.

(損益)5,000 / (繰越利益剰余金)5,000

Q2:決算において5,000円の当期純損失を計上した.

(繰越利益剰余金)5,000 / (損益)5,000
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剰余金の配当財源

剰余金の配当のうち配当用に使われる財源には決まりがあります.

繰越利益剰余金純資産その他資本剰余金純資産です.

今まで出ててきた純資産の内訳です.

純資産 資本金
資本剰余金 資本準備金
その他資本剰余金 
利益剰余金 利益準備金
任意積立金
繰越利益剰余金

資本剰余金は資本準備金その他資本剰余金とがあります.

資本準備金は,会社法で積み立てなければいけないものです.
その他資本剰余金は,資本準備金以外のものをいいます.

剰余金の配当が決定したとき

株主総会で剰余金の配当が決定したとき,配当金は実際にはまだ払われていないため繰越利益剰余金またはその他資本剰余金を未払配当金負債とします.

Q3:株主総会において,繰越利益剰余金を財源とした剰余金の配当を以下のように決定した.
株主配当金2,000円,利益準備金200円,別途積立金600円

(繰越利益剰余金)2,800円 / (未払配当金)2,000
               (利益準備金)200
               (別途積立金)600

Q4:株主総会において,その他資本剰余金を財源とした剰余金の配当を以下のように決定した.
株主配当金3,000円,資本準備金300円

(その他資本剰余金)3,300 / (未払配当金)3,000
               (資本準備金)300

配当金を支払った時

Q5:Q4で決定した株主配当金3,000円を当座預金口座から支払った.

(未払配当金)3,000 / (当座預金)3,000
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準備金積立額の算定

Q3,Q4の利益準備金,資本準備金の算定方法です.

冒頭の語句説明でもありましたがこれら準備金は会社法で積立を強制されています.

繰越利益剰余金が財源  ⇨ 利益準備金
その他資本剰余金が財源 ⇨ 資本準備金

をそれぞれ積立なければいけません.

積立額の算定方法は両者同じです.

・繰越利益剰余金の場合
利益準備金の積立額:
 配当金の1/10 と 資本金 × 1/4 ー(資本準備金+利益準備金)の小さい方

・その他資本剰余金の場合
資本準備金の積立額:
 配当金の1/10 と 資本金 × 1/4 ー(資本準備金+利益準備金)の小さい方

Q6;株主総会において,繰越利益剰余金を財源とした剰余金の配当を次のように決定した.
株主配当金3,000円,利益準備金?円
なお,資本金40,000円,資本準備金3,000円,利益準備金2,000円であった.

(繰越利益剰余金)3,300 / (未払配当金)3,000
              (利益準備金)300
   *3,000 × 1/10 = 300 > 40,000 × 1/4 - (3,000 + 2,000) = 5,000

Q7;株主総会において,その他資本剰余金を財源とした剰余金の配当を次のように決定した.
株主配当金4,000円, 資本準備金?円
なお,資本金40,000円,資本準備金4,000円,利益準備金3,000円であった.

(その他資本剰余金)3,400 / (未払配当金)3,000
              (資本準備金)400
   *4,000 × 1/10 = 400 > 40,000 × 1/4 - (4,000 + 3,000) = 3,000
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まとめ

今回は会社において株主還元の1つである剰余金の配当についてを解説いたしました.

こちらは決算整理仕訳の問題で出てくるのでしっかりと抑えておきましょう.

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