今回は,SNS上や大学生の間で流行っているネットビジネス(MLM),いわゆるマルチ商法について解説してみようと思います.
マルチ商法(ネットビジネス,MLM)とは?稼げる?危険?
マルチ商法(ネットビジネス,MLM)は,商品を友人や知り合いに売って,買った人がまたさらに友人や知り合いに売るという数珠繋ぎに会員数を増やしていき紹介料や会員料で利益を得ていくビジネス形態です.
では以下の図を使って説明してみます.
1.まず最上位にいるAさんは,あるとこから商品(ここでは書籍としています)を1個100円で4個を400円で仕入れます.(この時点ではAさんは ▲400円 の損失)
2.そこでAさんはBさんとCさんに「いい書籍があるんだけど買わない?」と誘い,自分の利益50円をつけて1冊150円で2個ずつ売ります.
・Aさんは ▲400 – 150×4 = 200円のプラス.
・B,Cさんは ▲300円 の損失
3.BさんはD,Eさんに自分の利益(例:20円)とAさんへのリベート(例:30円)を含めて200円でそれぞれ売ります.(Cさんの場合も同様)
・Aさんは 200円(今までの利益)+ 30円×2 (B, C) = 260円 のプラス
・B,Cさんは ▲300 + 200×2 – 30×2(Aさん取り分) = 40円のプラス
・D〜Gさんは ▲200円 の損失
このように,紹介された人がさらに紹介して...という風に連鎖的に組織を構築していく商法がマルチ商法やネットビジネス,MLMと言われるものです.
ここで注目したいのは,3.においてBさんがD,Eさんに商品を売ったときにAさんへのリベート代を支払っているという点です.これによりBさんは自分の手取り分が少なくなります.
一方でAさんにとってみるとB,Cさんに売った時は単純に利益がもらえるのですが,B,CさんがD〜Gさんに売った場合にも利益が入ってきます.(Aさんは何もしなくても利益が入ってくる状態になる)
この例ではたったの3階層で4個の商品というシンプルなものですが,実際はもっと階層があり,商品も膨大です.
・マルチ商法は連鎖的に会員を増やしていくビジネス
・下位層の者は商品が売れた時に上位層にリベートを払わなければいけない.
・上位層の者は何もしなくても収入が入ってくるようになる.
では,マルチ商法の何が問題なのでしょうか?
マルチ商法の何が問題か?
マルチ商法自体は特定商取引法という法律で規制がされていますが違法ではありません.
(参考:連鎖販売取引法)
よく間違われるものとしてネズミ講というのがあり,こちらは違法です.
違いとしてはネズミ講は商品などを介さずに会員料など,お金だけのやりとりだけが行われるビジネス形態です.
さて,私の見解ではマルチ商法の問題点として以下の点をあげます.
- 友達を失う
- 利益をあげるのは極めて難しい
- 摘発の可能性
友達を失う
なぜ友達を失うかというと以下が挙げられます.
1.「マルチ商法」という言葉自体に世間が嫌悪感を示しているから.
2.お金の稼ぎ方が倫理上よくない.
1.「マルチ商法」という言葉自体に世間が嫌悪感を示している.
仕組みをわかっている人はもちろん,よくわからないけど怪しいことはわかる.といった人まで様々でそういったビジネスをやってると言うことで友達の縁を切られることも少なくありません.
また,1人の友達にそういった嫌悪感を抱かれると,その友達からさらに知り合いに伝わって知らず知らずのうちに友達が減っていく可能性があります.
2.お金の稼ぎ方が倫理上よくない
というのも,上位層が稼いでいるお金は下位層(身内)からもらったお金なのです.
そして下位層の人間は下位層であればあるほど損失の回収が難しくなります.
つまり,紹介された人は入会した時点で大きな損失を背負い,損失を取り戻すのに必死な状態です.
少なくとも最下位層の人は確実に損失がある状態で,,,仲間内に相当損失がある中,上位層はその下位層の人のお金でぼろ儲けしているわけです.
これがビジネスというのに違和感を感じないでしょうか?
ビジネスというのは売り手と買い手が違いにwin-winであるのが本来のビジネスだと私は思っています.
マルチ商法は買い手が必ずしもwinとなるとは限らないのです.
利益をあげるのは極めて難しい
これは,これまで前述した通りで下位層になればなるほど利益を上げるのが難しくなります.
では,紹介されたとして「自分はどの位置の層になるのか」ということですが基本的に最下位の層であると考えた方がいいです.
マルチ商法というのは古くから存在するので,自分に声がかかってきたときに上位層に位置するわけがないのです.
さらに,上の図では触れませんでしたが入会料や月額費などがかかるものも少なくなく入会して商品を買った時点で多額の負債を抱えてしまいます.
そして買った商品に利益をつけて売っても,上位層へのリベートがあるせいで自分への利益はとてもわずかな状態となります.
この中で利益を上げるのはとても困難でほとんどの場合損失を抱えたまま辞めてしまうことになるのではないでしょうか.
摘発の可能性
あまりにも仕入れた商品に利益を課しすぎるとネズミ講と疑われことがあり,摘発される可能性がでてきます.
そして,組織自体がなくなると自分の収益源がなくなりいきなり生活が出来なくなる危険性があります.
また,儲けたお金に対して自分自身で確定申告をする必要があります.
もし確定申告を長年怠っていた場合,延滞税なども課されてこれもいきなり生活苦に立たされることもあります.
いつ無くなるかわからないビジネスをやるのはとても危険です.
どういう人が狙われやすいか
では,どういった人が狙われやすい(紹介されやすい)のでしょうか.
- 友人
- 若い人
- 平日に動ける人(大学生)
- お金に困っていそうな人
- SNS (Twitter, Instagram)のフォロワー
知らない人にいきなり声をかけるのは難しいので,まずは友人や知人に声をかけることが多いです.
また,若い人の方がやる気もあり活発なので会員を増やしてくれるだろうという期待から紹介されやすいです.
大学生など時間に余裕があり,平日に動ける人も会員増の期待で誘われやすい.
お金に困ってそうな人がいると「簡単に稼げる」ことをアピールすることで紹介しやすい.
SNSでのDMでフォロワーからいきなりDMで「副業に興味はありませんか?」というものが来ますのでこれにも注意.
まとめ
今回は,簡単な物を介したマルチ商法の紹介でしたが昨今のマルチ商法は非常に多様化しています.(アプリ紹介,仮想通貨,投資信託など)
自分はやらないとわかっていても身の回りの友人や知り合いにもやってほしくないですよね.
人間,お金にどうしても困っている時に信頼のおける友人から声をかけられたら,簡単に手を出してしまうものです.
お金やビジネスに関して正しい知識を身につけていきましょう.
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