[書籍紹介]「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」

情報リテラシー
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昨今,新型コロナウイルスのワクチン接種が拡大してきており高齢者に関わらず若い方にも打つ打たないの選択が迫られる日が目前に迫っています.

日々のニュース,ネットの情報では,ファクトチェックがされていない情報が散見されており,自分で情報を入手し,取捨選択していきたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そういった状況下の中で私が読んだ「新型コロナとワクチン知らないと不都合な真実」という書籍がコロナウイルスやワクチンに対する入門書として参考になりましたのでご紹介させていただきます.

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「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」

著者

本の真実性,信憑性を判定する上で最も大事なことは著者が何者かということです.

本書の著者です.

山中 浩之 さん
 日経ビジネス,日本経済新聞社証券部等を渡り歩き現在日経ビジネス編集部でウェブと書籍の編集を勤める.著書「マツダ 心を燃やす逆転の経営」

峰 宗太郎 さん
 京都大学薬学部,名古屋大学医学部医学科卒業,東京大学院医学系研究科修了.
 国立国際医療研究センター病院,国立感染症研究所等を経て,現在は米国立研究機関博士研究員.
 医師(病理専門医),薬剤師,医学博士.

構成

この本は,コロナウイルスや感染症に詳しくない山中さんが,ウイルスのTHE専門家である峰さんに今回のウイルスやワクチンについてヒアリングしたものを対話形式でまとめたものです.

素人の山中さんがヒアリングしたからこそ私たち一般人が知りたい情報がこの本には詰まっています.

基本的には1問1答のような形式で峰先生が質問攻めをくらう構成となっています.
峰先生が答えたことを一般の方にもわかりやすいように噛み砕いて「〜ですよね?」と再度問いただすことで専門家と一般人の意思疎通が成立し,私たち読者にもクリアに情報が伝わっくるものとなっています.

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この本を読むことで何がわかるか

私のような感染症素人が読むにはとても内容の深いものとなっていますので章ごとにまとめます.

1章「新型コロナの基礎知識と振り返り」

この章でわかること
・新型コロナウイルスは他のウイルスと何が違うのか
・そもそも感染症とは何なのか?
・死亡率には2種類ある!?
・感染のしやすさ「再生産数」とは?
・「2メートル離れてください」の真意は?
・感染症の予防法

1章は基本的なことが多いのですが,読んでみるとコロナの正体が少し見えてきます.
単に死亡率といっても2種類あり,どちらがニュースで使われているのかなど周りの人よりも一歩先の知識を得ることができます.

2章「治療薬とワクチン,基礎の基礎」

この章でわかること
・ワクチンと治療薬の違いは?
・COVID-19との治療的戦い方は?
・抗ウイルス薬とは?
・「薬が効いた」という言葉の誤解
・日本人の9割が感染しているEBVウイルスとは?
・「免疫」の本当の意味とは?
・集団免疫を獲得するための必要人数は?
・ワクチンの発祥は?
・ワクチンの種類(生,不活化,成分)

2章では,ワクチンの基礎,歴史から日本のニュースでの誤解されるような報道の仕方まで,正しくワクチンを理解する上での情報が入っています.(峰先生の研究の話もコーヒーブレイクで入っていました.)

3章「核酸ワクチン」への期待と不安

この章でわかること
・新ワクチン「核酸ワクチン」とは?
・ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)の発達
・ワクチンが1年程度で開発できた理由
・新型ワクチンのリスクは?
・ワクチン開発で起こる倫理的問題
・ワクチンの効果持続期間は?
・「9割感染者減」の真相は?

3章では,今回開発された新ワクチンについてを説明いただいています.
なぜ1年で開発できたのか?なぜ新ワクチンを信用できるのか?新ワクチンのリスクは?
3章を読むだけでも今回のワクチンの正体が大まかにわかってきます.

4章「ワクチンとヒトの免疫,基礎の基礎」

この章でわかること
・「抗体価」とは?
・ヒトの免疫系について.「自然免疫」「獲得免疫」
・インフルエンザワクチンの効き目が低い理由

4章では,ヒトの免疫の仕組みについて詳しく学ぶことができます.図や表を混じえ,素人の私でもわかりやすく頭に入ってきました.
この章を読むことでワクチンの効き目とは一体どういった数値を持って判断されるのか?なぜ2回新型ワクチンを接種する必要があるのか?2回もの接種は不要ではないかなどといったことを議論できるようになります.

5章「新型コロナ対策の「湯加減」」

この章でわかること
・人によっての対策の温度差をなくすには?
・科学のモデリングの限界.
・「3密」という画期的ワード
・しゃべらなければリスクは下がる?
・GOTOもリスク観察の上で必要だった?

5章は,人によって新型コロナウイルスに対する受け止め方に温度差がある.ということをもとにウイルスとの付き合い方を綴られています.実は「日本の対策は効果的」であったり,「過度な自粛は限度がある」といったこれまでの対策とこれからの対策について俯瞰的に見て取れるようになります.

6章「やっぱり知りたい,PCR検査」

この章でわかること
・自分が見ている世界と免疫オタクが見ている世界は違う.
・PCR検査とは?
・「特異度」とは?
・PCR検査をする意味
・歯切れのいい対策は無責任

6章では,PCR検査について記載されています.PCR検査とは何なのか?結果の数値がもたらす意味であったり,検査数に対する専門家としての見解がわかります.この章を読むことで「検査数を単純に増やせばいい」という考えを持つ人はいなくなるでしょう.

7章「無制限PCR検査」が見せた理解のズレ

この章でわかること
・「無制限PCR検査」を主張する人の主張根拠
・インフルエンザの陽性判断プロセス
・検査の「感度」は感染後の日数で変化する?
・海外の「無制限PCR検査」の裏事情
・スウェーデンは「集団免疫」を獲得したわけじゃない

7章では,6章での触れられている「無制限PCR検査」の意味について記載されています.欧米の例から私たちが誤解した効果の認識をしていないか?という点が印象的でした.
どの地域でも感染を抑え込んでる要因というのはシンプルに1点共通したものであるということ.
ニュースで報道されている諸外国の封じ込めに対するイメージが大きく変わります.

8章「根拠の薄い話に惑わされない思考法」

この章でわかること
・「鈴木貞夫」先生のPCR検査に対する見解
・「アイスクリーム理論」とコロナウイルス

8章は,公衆衛生学が専門の「鈴木貞夫」先生を交えて鈴木先生の意見,PCR検査に対する第3者の専門家の考えも聞いておこうという章であるかと思います.
「アイスクリーム理論」という,「アイスを売れば海難事故が増える」というような論理の飛躍を新型コロナウイルスの事例に例えて,情報のファクトチェックの大事さを語っていただいてます.

9章「誰を信じるのか,信じていいのか?」

この章でわかること
・どうすれば個人で情報精査をできるようになるか?
・基礎知識(情報)の集め方
・「正しい情報」だけを取りに行くとかえって危険?
・この本を読み終えた後に何をすべきか?

9章は,情報の取捨選択を題材にした最も重要な章です.
どうすれば私たち一般人が情報を得て日々の判断・意思決定が行えるか.
また,この本を読み終えた後に考えるべきことまで言及してくださっています.

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関連動画

中田敦彦さんと「要約チャンネル【毎日19時更新】」がこの本をもとにワクチンについて解説していました.

大まかな概要は,以下の2動画で掴めるかと思いますが,第3者が本の内容を代わりに伝えているという時点で情報は変化して伝わっていきます.

内容に関しても動画だけでは語り尽くせていないなと思うことが多々あるので本を自分で読むことをおすすめいたします.

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まとめ

山中さんと峰さんは「神風が吹く」と言った元寇になぞらえたワードをポイントポイントで出しています.「コロナが奇跡的に急激に収まることはない」それを願って人々が不合理な行動をとってしまう.
必要な情報を自分で取捨選択・判断して一人一人ができる感染対策をしていくことが大事だと私は読みとりました.

また,この本の内容を全て信じることもしてはダメで多くの専門家の意見を自分で取捨選択していく情報リテラシーがとても重要です.
とはいえ,峰先生は専門家ですので一般人にはない見解を多分に持ち合わせており,私のような素人でも理解しやすいコロナウイルス・ワクチン・免疫の入門書として活用できるかと思います.

今回の新型コロナウイルスも東日本大地震,大統領選挙などに続きファクトチェックの大事さを改めて感じさせられました.

自分の興味ある章だけでもいいと思うのでぜひ読んでみてはいかがでしょうか?

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